2 中小規模施設をつなぐ通信インフラの形態
ここでは、IEEE1888アーキテクチャを中小規模施設の設備・エネルギー管理に適用した場合に、どのようなインフラが構築されるのかを示す(図2)。
図2 中小規模施設をつなぐIEEE1888のインフラ
施設側のネットワーク
・施設A:
すでに何らかのフィールドバスが導入されていて、空調・照明・電力メータ・環境センサなどが一つのシステムに結合されている施設である。この情報を取り出してインターネット上にある豊富なエネルギー管理サービスを受けるために、IEEE1888との通信GWを導入して、インターネットに接続する。
・施設B:
空調・照明・電力メータなどが独立したシステムとして導入されている施設である。これらの情報をインターネットに取り込んで豊富なエネルギー管理サービスを受けるため、それぞれの機器をIEEE1888との通信GWによってオンライン化している。なおこの施設では、施設内にデータを蓄積すると共に、施設内に設置されたアプリケーション(例えば、見える化サーバ)も活用している。
サービス事業者
オンライン化されたシステムと連携することによって、様々なサービスを生み出せる。そしてサービスの内容によって事業形態が異なる。以下にあげるのは、それぞれの事業形態の一例である。
・見える化専門事業者:
契約した施設からオンラインになったデータを、上手に分析し見せることによって、節電に対するアドバイスを行う事業者。電力消費がそもそも小さな施設であれば、ソフトウェアによる自動アドバイスのサービスを提供する。消費電力がもう少し大きな施設であれば、その現場にあった見える化方法のカスタマイズも引き受ける。
・制御ロジック専門事業者:
契約した施設の設備にIEEE1888によって接続し、空調や照明などの電力負荷に対する制御を行う事業者。夏場のような電力逼迫時にデマンド制御を行ったり、それ以外の時でも無駄に点灯している照明機器を消灯したりすることで、上手なエネルギー管理を行う。この方式は、見える化だけでは節電が達成しにくい場面(例えば、学校施設や、小売りチェーン店)で効果を発揮する。
・データ蓄積・基礎分析専門事業者:
契約した施設からオンラインになったデータを長期間に渡って蓄積するサービスを提供する事業者。場合によっては、収集されたデータに基礎的な信号分析処理を適用し、取扱いが便利なデータに加工することもある。他の事業者から参照されることも可能で(もちろん事前に契約する)、例えば、見える化専門事業者が、見える化のための元になるデータをこの事業者にIEEE1888でもらうこともできる。
・大手総合管理事業者:
上記の各専門事業者の機能を一手に引き受ける事業者である。データ蓄積・基礎分析、見える化、制御のすべてを行うことができるが、実際の契約形態としては、「見える化のみ」や「制御のみ」といった形態もありえる。